この度の大震災と津波による犠牲者のかたがたのご冥福を心からお祈り申し上げます。また被災された方々の心と被災地の一日も早い復興を願っております。
 僕の出身地の宮城県亘理町というところも、海側の荒浜地区等太平洋側は壊滅状態ですが、実家の姉や仙台の身内等全員の無事が確認されて、とりあえずほっとしてはいるのですが、何よりも原発事故の今後の動向と影響が危惧されます。亘理町は福島県境の太平洋側で相馬まで60km位ですから、放射性物質の飛来はどう考えても避けられません。
 このところずっと原子力関係の正確な知識を求めて、様々な情報を探っていますが、正しいと思える情報を知れば知るほど、ますますとんでもなく大変で深刻な事態なのだと確信しています。日本のマスメディアのほとんどが何と信用できかねるのだろうかと呆然としますが、僕自身も含めてほとんどの日本人がいかに無関心であったのかと思い知らされてもいます。世界で唯一の原子爆弾の被爆国であるにもかかわらず、今回の事故で世界中に汚染物質をばらまく国になってしまったわけですからね。自然の大災害が引き金になったとはいえ、想定外と繰り返されるたびに、自然に対していかに人間がちっぽけで無力で脆弱な存在であるのか、その人間のおごりが引き起こした人災であることを個人のレヴェルでリアルに思わずにいられませんね。
 ドイツなどの海外の情報や広瀬隆氏や広河隆一氏、田中優氏の見解などがとりあえず核心的で正確だと思います。
 
 僕自身、これからの生き方の根本的な見直しを突きつけられている気がしています。
白カラスのウォング氏と元カシオペアの向谷実君とサンプラザ中野君のネットイベントに参加しました。

先月の24日からオーストリアの友人の美術家で、映画監督でもあるエドガー-ホーネットシュレーガーが、彼の新しい映画のためのビジネスツアーで来日していて、僕の家に10日間程滞在していたこともあって、ブログ書くのちょっとさぼってました。
 さて、今回はどんなことにしようかなと思っていましたが、先日、これまた10年以上も会っていない彫刻家の友人から電話があったんだけど、ちょうどその日の前日か前々日に、ネットサーフィンをしていてなんとなく彼のホームページに行き当たってね、僕が昔('80年代の終わり頃だったと思うんだけど)彼の作品の個展の為に書いた文章がほかの人のとともにのっていて、読んでいたら、誤植や脱字なんかの細かい間違い、でもそのことでニュアンスや意味が変わってしまうような間違いに気づいて、添削したりしてたんだよね。そしたら突然電話があって、いやあしばらくだねえ、っていったら案の定そのホームページに掲載された僕の原稿のことで、事後承諾の電話だった訳です。以心伝心のよくある話なんだけども、皆さんも経験してるんじゃないかなあ、ある人のことをふと思い出したら、直後に本人から電話がきたりするようなこと。ユング派の心理学者の故秋山さと子さんと赤瀬川原平さんの対談で、「異次元が漏れる―偶然論講義」という本があったど、ありふれた日常の中に忍び込んでくる、こんなシンクロニシティって一度や二度はみんな経験があるんじゃないだろうか。そんなわけで、彼と初めて出あったバリ島プリアタン村のことを思い出したのですが、前々回のブログで書いたように'74年に初めて訪れてから、20年間で20数回行き来したようなところなので、ここでは書ききれないと思うので、とりあえず彼の個展の為に書いたのを、以下に転載します。

   <風の源、火の作法、水の祈り、木の叫び>
 バリ島プリアタン村から、夜明け前に、モーターバイクで出発。ゴア・ガジャ(象の洞窟)、ペジェン村のプナタラン・サシ寺院(月の寺院)を通りすぎて、タンパクシリン村グヌン・カウィに到る。
 長い階段の途中で沐浴して、谷間の寺院に降り、王族の瞑想場に入る。無為の時を析るように味わう。 左の傍に彼の木彫の一つが端座している。濃密で瑞々しい空気、湿った岩肌と植物の匂い、せせらぎや、虫達の声。鳥達が眼覚める頃、私の中の何かが覚醒して、彼の彫刻から放たれる波動のシャワーを浴びる。静かで力強い至福の時。
 大地の荒々しいエネルギーを無傷のまま浄化する、非物質的な装置。

 まだ午前の内に再び、バイクで山の方に向かう。バトゥール火山(海抜1717m)の外輪山系(アバン山2153m、プヌリサン山1745m)の尾根づたいに点散する村々(約1300m前後)の一つペネロカン村から、バトゥール山と右手下方に広がる三日月湖バトゥール湖(幅約3㎞、本弭から末弭まで約7・5㎞)を見遥かす。足下の本弭にクディサン村、末弭にソガン村。左手、弦の中間部にトーヨブンカ村、対岸の弓の中間部にトゥルーニャン村。
 クディサンの舟着場まで降りて、波打際の岩に座る。快晴、溢れる陽光が、揺れる波の幾千幾万の鏡に反射して輝いている。光の乱舞。一匹の青い蝶が、向こうから、湖面すれすれに渡ってきて、左の肩に停まる。深呼吸するように、羽を開閉している。ああ、まぶしい......。
 バトゥール山麓の黒い溶岩の山肌の中の道を走って、トーヨブンカに到る。波打際を岩石で仕切っただけの浅い温泉に漬かる。砂の底、無色透明のぬるま湯の中を小魚の群れが泳いでいる。全身を横たえて浮かぶ。蚊はここまで上がってこない。耳は湯の中、目鼻、口はそよ風の中。優しい温もりと静寂。水の輪が寄せては返して、複雑な波紋が身体の際を愛撫していく。柔かい日溜り。

 仕切りを越えて、清涼な湖面の水を切って泳ぐ。シューッ、シューッと、得体の知れない巨大な生物の呼吸のような水中音があって、根源的な畏怖感が湧き起こり、湖の中心にこれ以上進めない。水を宥めるようにして泳ぎ帰る。湖のどこか最深部にも、彼の彫刻のIつが潜んでいるのだろうか。

 舟で対岸のトゥルーニャン村から300m程北の風葬場の舟着場に着く。トゥルーニャンとは白檀の意味で、白檀の大木の下、竹を荒目で編んだ囲いの中に一体ずつ、白骨死体が横たわっているが、腐臭もなく、自然に乾燥して風化していく。女声のアルジャ(バリのオペラ劇)の一節が聞こえてくるのに魅かれて、舟着場に戻る。湖に張出した木の桟橋。湖面は柔かい襞の天鵞絨(びろうど)のように凪いでいる。岸は10m程の切立った岩壁。傾き始めた陽が右手ななめ前方から、湖面に、揺らぐ光の道を作っている。天然の水舞台。初老の女が丸木舟を操りながら歌っているのだ。
 12才位の男子が、もう一艘の丸木舟で寄りそっている。魚をとっているらしい。光の道をゆっくり向ってくる。素晴しい高音の地声が湖面に響き渡り、複雑にうち震えながら天空に消えてゆく。
 そうだ、きっとここは風の源。天地の間の巨大な鞴(ふいご)の源に私は立っているのだ。

 トーヨブンカからペネロカンに戻り、尾根づたいにバトゥール村に到る。陽もすっかり暮れかかっていて、先程の天気が嘘のように、霧がかかってくる。風もでてきた。いや、むしろ雲の上にいるというべきか。空は高くて、明るいのだが、尾根の周辺だけ霧に包まれているのだ。バトゥール寺院に入る。誰もいない雲の中の寺院。ふと、不思議な音に囲まれているのに気づく。

 風が遥か彼方から運んでくるような、秘やかでかすれた笛の音の群れのような音。スナリの音だ。

 大きな祭りの前日に、竹棹を寺の四方の高い所に立てる。竹には一節ごとにスリットが入っていて、風が笛のように演奏していくのだ。悪霊を海に追いやるための悪魔払いの音響装置。

 しばし方向感覚と重力感を失ないそうになる。境内の中央の地面すれすれに浮いている彼の作品。
 雲の切れ目からの月の光を集めて、青白い光を照り返している表面、触れることのできそうな光。
 しかし、この青白い炎のようなオーラの炉心部には、想像を絶する熱度と速度があって、容易に触れることはできない。

 これら、バリ島に遍在する深い場所と時間には、きっと彼の彫刻が潜んでいるに違いないと思うのだが、それは、彼の作品がバリのスタイルだということではなく、むしろまったく異質な彼独自のスタイルでありながら、バリの文化、宗教の最深部と通底し響きあっていて、それらに桔抗する強度を勝ちとっているからだと思う。世界の臍で彼は何を観たのだろうか。
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 当時の自分の中のバリ島での思いや在り方が、少しわかってもらえるかもしれないと思ってまるごと転載しました。

 さて先程のシンクロニシティの話なんだけど、僕はずいぶんと昔から、特に一人で外国を旅しているとそうゆうのが集中して起きるんだよね、それはちょっと日常の中で起きるのとはまたちょっと違っていて、その後の自分に多大な影響を残すような、結構強烈なことだったりしてドキドキしてしまいますねこれは、いやほんとに。

 バリ島というかインドネシアへの最初の旅でも、ジャカルタの空港に着いたその夕方から、信じられないような偶然の出会いや巡り合わせに導かれるようにして、夢中で旅してまわった2週間後には、気がついたらプリアタン村のプリ-カレランで故A.A.Gde Raka Bawaさんという僕の最高のバリ文化の導師であり友人となる人と向かい合っていたのでした。バリ島のことについてはちょっと時間をくださいね、なにせ若いとき20代はじめの頃から40過ぎまで自分の半身がそこで生きていた感じがするような場所なもんだから、今でも特別な感情なしには語れないんだよなあやっぱり。

 次回は僕の体験した、様々な海外でのびっくりシンクロニシティの中でも、忘れがたい話を語ってみようかなと思います。
 

PROFILE

YAS-KAZ

60年代後半から坂田明、小杉武久、故阿部薫ら とセッションを始める。土方巽舞踏団や「山海塾」の為の音楽作曲、ウェインショーターとの共演等で成功を収め、国内外の音楽フェスティバ ル等に多数出演、国際的に高い評価を得る。
ジャズや現代音楽、世界中の民族音楽、生物の音声等の探求を通じて、広範なテリトリーを脱ジャ ンルし続ける、サウンドクリエイター。
壮大で幻想的な独自の音楽は、各界の注目を浴びている。
'01~ベネチアビエンナーレ招待公演から ヨーロッパツアー。'06年20枚目のアルバム "兎に角" リリース。'07 草月流80周年記念イベント「創流祭」(両国国技館 )の音楽監督。イタリア・パンタレリア島での国際的なコラボレイションプロジェクト"アルカディア"に招待参加。'08 再び"アルカディア・プロジェク ト"に招待参加。パリで江戸操り人形とのコラボレイション作品"牡丹燈籠"の音楽監督として、作編曲と演奏。 '09 2月、森山開次の 新作"狂ひそうろふ"の新国立劇場公演の音楽監督、作曲演奏。公演に併せて21枚目のアルバム"狂ひそうろふ"を リリース。バルト三国 ツアー、赤尾三千子の"蓮曼荼羅"に特別ゲスト出演。日メコン交流年2009記念「森山開次ソロダンス」ベトナム公演(サイゴンオペラハ ウスにて)の音楽監督、作曲ならびに演奏。

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